十勝の事務所1
十勝・浦幌町の製材工場社屋新築工事。
ひとまわりメンバーでもある木下林業・木下社長より「創業100年に向けて、道産材をふんだんに使った木組みの社屋を建てたい」
とのご用命を受けて動き出したプロジェクトです。
設計には、東京から菅家太建築設計事務所さんお迎えして、外からの目線で北海道の足元にある価値に光を当てて頂きました。
構造材のカラマツを社有林から伐り出し、人工乾燥の木材へのダメージをできる限り少なくするために中温乾燥を採用、
簡易な加工は工場プレカットを併用し、要所の継ぎ手・仕口加工は大工が刻みました。
製材工場社屋としての工夫は構造材だけではなく、断熱材にも工場から出たチップを原料とした木質繊維断熱材を使用し
ミズナラの外壁材は、製紙用にチップ化される予定の原木の中から、製材して使えそうなものを選りすぐり挽いてもらいました。
これは設計の菅家氏が最初に現地を訪れた際に、チップとして粉砕されるのを待つばかりの原木の山を見て
「なんてもったいないんだ」と驚かれたことと、かつて木下林業さんは広葉樹専門の製材工場だったという背景から
木下林業さんと北海道の森林を次の100年に繋げるためのシンボリックな外観となるよう採用されました。
内装仕上げにも木下林業さんで加工したミズナラの床材、浦河町・野田左官店さんの土壁や漆喰、札幌市・蝦夷和紙工房紙びよりさんの手漉き和紙の壁など、北海道の素材と作り手が切磋琢磨して心地よい空間を生み出しています。
これから10年、30年、50年、100年と永く大切に使って頂けるような建物に成長してくれることを願います。
(木村)
所在地/十勝郡浦幌町
構造規模/木造平屋建て
建築面積/92.50㎡
延床面積/80.32㎡
製材・加工/木下林業・瀬上製材所
設計/菅家太建築設計事務所
施工/木村建設
左官/野田左官店
和紙/蝦夷和紙工房紙びより